【開催報告】「1から企画を立てるのに必要なスキルを身につけよう」~企画・立案力編~

2023年8月1日(火)18:00~20:00にコラボレーションスペースTaktで、Con-Takt主催の研修が開催されました。今回は企画・立案力編です!今回講師を務めたのは一般社団法人トナリスの代表の土肥さんです。

この研修会の経緯

この研修会は「1から企画を立てるのに必要なスキルを身につけよう」というテーマで複数回開催されています。

昨年度Con-Takt主催で足湯イベントをJR草薙駅南口広場で開催しましたが、準備期間が短かったことや、前提知識の共有がなされていなかったなど様々な反省点がありました。

そのため今年度は事前にさまざまな角度で企画について学ぶことから始めています。12月ごろに企画ができるようにCon-Taktでは動いています。

研修会のスケジュールは以下の通りです。

8月1日(火)企画・立案編(開催済み)
講師:土肥 潤也|一般社団法人トナリス 代表 / みんなの図書館さんかく 館長

8月8日(火)コミュニケーション編(開催済み)
講師:榛葉、内山│Con-Takt

8月22日(火)アイデア発想編(開催済み)
講師:酒井 敏|静岡県立大学副学長

8月29日(火)デザインシンキング編(開催済み)
講師:小澤 京子│常葉大学造形学部造形学科 非常勤講師

9月26日(火)わかりやすい伝え方編
講師:窪田 てるみ|しあわせ販促工房 漫画クリエイター

この研修会はCon-Taktメンバーだけでなく、Taktの会員の方や会員でもない方も参加できるものとなっていました。

概要

日時:8月1日(火)18:00~20:00
開催場所:コラボレーションスペースTakt
参加人数:約20人(Con-Taktメンバー、静岡県立大学の学生、常葉大学職員、Takt会員の方々など)
講師:土肥 潤也 (一般社団法人トナリス 代表 / みんなの図書館さんかく 館長)

当日の流れ

当日は以下の流れで進められていきました。
・企画力って何?
・学生生活
・一番最初の企画
・思い出深い企画
・無茶ぶりから学んだこと
・さらなる無茶ぶり企画
・企画を立ててみよう!(ワーク)
・色々な企画から学んだこと

〇企画力って何?

研修の初めに講師の土肥さんがある問いかけをしました。それは、「企画力とは何か」というものです。みなさんは「企画力」という言葉にどのようなイメージを持っていますか?参加者からは「アイデアを思いつくだけでなく、それを実際に形にする力」「チームを引っ張っていくリーダーシップ」「誰も考えたことが無いようなアイデアを考え出す力」など他にも様々な意見が出されました。

「企画力とは何か」と聞かれることが多いそうなのですが、「企画力」と言っても一概に「これ」と言えるものではないので、どんな力なのか各々考えながら研修を受けてほしいとお話していました。

〇学生生活

土肥さんは大学3年生の頃、「絶対就活しないぞ」という強い思いから髪型を派手にしました。そのせいか周りの人から少し怖がられていたそうです。しかし、土肥さんは大学生活4年間にわたって様々な「社会貢献系サークル」に所属していました。

社会貢献系サークルとは、主に静岡県立大学にある地域コラボプロジェクトYEC(若者エンパワメント委員会)など社会問題に対して活動を行っているサークルの総称となります。サークルによってさまざまな社会問題に取り組んでいて、例に挙げた地域コラボプロジェクトは草薙地域のまちづくり、YECは若者の社会参画の活性化を目指して活動しています。

〇記憶にある一番最初の企画

大学1年生の時、所属していたYECの活動の一環で、当時高校2年生の子の「フラッシュモブをやりたい!」という願いを叶えるという企画が最初だとお話してくれました。なんとこの研修会の参加者にも、当時フラッシュモブ企画に実際に参加していた方がいました!

発案者の高校生と大学生だった土肥さんでは年齢の差も少なかったため、お互いに企画に対する知識や経験はほぼ無い状態からのスタートでした。そのため、「一緒に勉強して、一緒につくる」という意識で企画が進められていきました。

YECの活動を続けていた時に、その後の土肥さんの活動に大きく関わることが起きました。それは、2019年の静岡県の人口流失が全国でワーストになってしまったということです。県はこれを「県が若者の声に耳を傾けていないからではないか」と考え、「わかもののまちしずおか」という活動を始めました。

この活動は当時土肥さんが所属していたYECの活動と似ていたため、県が行う人口減少対策を考える会議に出席したり、市役所の方にお話を聞きに行ったりして若者の社会参画の促進を目指していました。

しかし、行政はそう簡単には動かず、市から「ムーブメント」を起こすことを要求されました。土肥さんは「ムーブメントとは何だ」という気持ちを抱いていましたが、街中で直接中高生に声を掛け、市に提言したいことを集めて回る形で「ムーブメント」を起こしました。声を掛けた人数はのべ2000人にもなりました。

多くの若者の声を集めた結果、集めた提言が市の事業に織り込まれることになりました。この提言を実行し現在の土肥さんの活動に至ります。提言が実現した例として「静岡市わかもの会議」が挙げられます。これは市の職員の方と高校生が意見交換をする会議で、そこで話し合われたプロジェクトが実際に行われるたという事例も多くあります。

講師の土肥潤也さん

〇大学生の時の思い出深い企画

フラッシュモブなど大きい企画を行っていると、次第に多くの人から一目置かれるようになっていきました。そのため、無茶ぶりのような企画を依頼されることもありました。その一つに「2週間後に学長を何らかの形で絡めた企画をしてほしい」というものがありました。土肥さんたちはこの企画を「新成人の集い」として進めていきました。

この企画の難しいところに、まず本番までの期間が2週間と短いことがあります。また、大学としては公的な立場として真面目さを重視していますが、イベントのターゲットである学生は楽しさを重視しており、双方の求めるものが違うのでどうすり合わせていくのかが課題でした。

土肥さんは時間が無い中、自分一人では企画を成功させられないと考え、ダンス部やアカペラ部などパフォーマンス系の部活への出演依頼兼人集めや、スポーツ系のサークルに入っている友人に声を掛け人を集めました。こうすることによって、学生が求める楽しさを提供しつつ、人を集めることが出来ました。

〇無茶ぶりから学んだこと

この経験を受け「この無茶ぶりのおかげで、これ以降の企画で動じなくなった。」と語っていました。また心情の変化もあり、「無茶ぶりを頼んでくれる=出来ると期待されている」ので断るのはもったいないと考えるようになりました。

企画に対して前向きに捉える心情の変化があったとはいえ、土肥さんは自分一人で企画をすることは出来ないことを痛感しました。そのため、企画をする際にはどんな仲間を集め、どのように企画に関わってもらうか、当事者意識をどうしたら持ってもらえるのかが大事だということに気づきました。

また、土肥さんがこうした企画を行ったのは、大学1、2年生の時で高校を卒業したばかりで企画に対する知識がほとんどない状態でした。そのため、企画力が高い人と一緒に企画を進めたり、企画の型や作法を見て盗んだり自分がどこまで出来るのか把握して足りないものを補ったりして企画力を培っていきました。

〇さらなる無茶ぶり企画

今度は行政から「若者の音楽フェス」企画の依頼を受けました。これも無茶ぶりと言える企画でステージだけは確保されてましたが、内容や出演者など他は何も決まっていないという状態での依頼でした。しかし、そんな中でも今までの企画の経験を活かし、初回は成功することが出来ました。

しかし、ここで土肥さんはまた無茶ぶりを受けることとなりました。初回の企画が好評であったため、来年も企画してほしいとの依頼が出されたのです。2年目の企画はさらに難しい条件での依頼となり、内容が決まってない上に、1年目は確保されていたステージも自分たちで確保しなければならないという状態での企画になりました。

ステージを確保するための費用も無かったので、クラウドファンディングに挑戦することとなりました。しかし、目標額には及ばず失敗という形になりました。土肥さんは当時のことを「失敗したものの、早めに失敗することが出来て良かった」と語っていました。「体験しないと学べなかったことだった」とも言っていました。

資金が無い中でしたが、ステージをホームセンターにあるような板を買ってきて簡易的に作るなどの工夫を凝らしつつ、何とか開催することが出来ました。

〇企画を立ててみよう!

ここからはワークの時間となりました。参加者で数人のグループとなって企画を立てるという内容で行われました。このワークでは土肥さんが体験したような無茶ぶりとも言える条件が提示されていました。例えば、企画内容コンセプトを一から考えるところから始めたり、予算10万円で3週間後に100名集めたりするという厳しい条件が出されました。これには参加者も頭を悩ませていましたが、その分細かいところまで詰めて話し合いを行っているグループが多く、活発に議論が行われてました。

〇色々な企画から学んだこと

多くの企画を進めてきた土肥さんが、これまでの経験から学んだことについてお話ししてくれました。

「企画をするときは65点を目指すと良いと思います。100点満点を目指すと、少しでも不安があったり、失敗したりした時に企画をやりたくない、やらないという選択肢になってしまう。」

「リスクは、そのリスクに対面した時に考えるという心構えで挑むといいと思います。最近、リスクがあるから出来ないとかやりたくないと言っている方も多いのですが、体験した分リスク回避能力が上がるのでまずは動き出すことが重要だと考えています。」

「自分にリーダーは向いていないと言って責任を負うことを回避する声をよく聞きます。しかし、責任を負った数だけ人間は成長するし、ずっと向き合わないでいるといつかやらなきゃいけない場面は必ず来るので、その時に大けがを負うよりは早い段階で小さいけがを負っていく方が良いと思います。」

数々の無茶ぶりを受けてきた土肥さんだからこそ得られた考え方なのではないかと感じました。

この研修を受けて「企画」や「リーダー」はそれ相応の能力がある人がやるものだと思っていましたが、やるときは0からのスタートでやらなければ力がつかないということが分かり、自分から機会を逃さずに挑戦していきたいと思いました。みなさんにも、この記事を読んで企画を立てることに対して新たな気づきが生まれていたら嬉しく思います。

今回貴重なお話をしてくださった講師の土肥さんに感謝申し上げます。

おわりに

最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!Con-Taktは12月に行う企画に向けてたくさんの方をお招きして学んでいます。

この研修会はTaktの会員の方でなくても、参加できる会となりました。たくさんの方々にご参加いただきました!気になった方は各イベントページをぜひご覧になってください♪

※組織行動学研修はイベントページではなく開催報告の記事になります。

7月11日(火)組織行動学研修(開催済み)
講師:小林 祐介|一般社団法人草薙カルテッド事務局

8月1日(火)企画・立案編(開催済み)
講師:土肥 潤也|一般社団法人トナリス 代表 / みんなの図書館さんかく 館長

8月22日(火)アイデア発想編(開催済み)
講師:酒井 敏|静岡県立大学副学長

8月29日(火)デザインシンキング編(開催済み)
講師:小澤 京子│常葉大学造形学部造形学科 非常勤講師

9月26日(火)わかりやすい伝え方編
講師:窪田 てるみ|しあわせ販促工房 漫画クリエイター

Taktでやりたいことを見つけよう。叶えよう。

Taktのやりたいこと週
Taktは『誰もが主役に』なれる場所を目指しています。Taktの特徴は他大学や他学年はもちろん、企業の方や地域の方と気軽に繋がれることです。こうした繋がりを活かして、Taktでは『やりたいこと』を見つけることから始められます。まずは気軽にお立ち寄りください!