【開催報告】「1から企画を立てるのに必要なスキルを身につけよう」~アイデア発想編~
はじめに
こんにちは!Takt運営学生団体Con-Taktです!
本記事では8/22(火)にTaktにて開催されたイベント、「1から企画を立てるのに必要なスキルを身につけよう〜アイデア発想編〜」の開催報告をしていきます。
登壇いただいたゲストは静岡県立大学の副学長、酒井 敏さんです。企画を立てるのに必要な「アイデア出し」について、大切なマインドを教えてくださいました。
この研修会の経緯
この研修会は「1から企画を立てるのに必要なスキルを身につけよう」というテーマで複数回開催されています。
昨年度Con-Takt主催で足湯イベントをJR草薙駅南口広場で開催しましたが、準備期間が短かったことや、前提知識の共有がなされていなかったなど様々な反省点がありました。
そのため今年度は事前にさまざまな角度で企画について学ぶことから始めています。12月ごろに企画ができるようにCon-Taktでは動いています。
研修会のスケジュールは以下の通りです。
8月1日(火)企画・立案編(開催済み)
講師:土肥 潤也|一般社団法人トナリス 代表 / みんなの図書館さんかく 館長
8月8日(火)コミュニケーション編(開催済み)
講師:榛葉、内山│Con-Takt
8月22日(火)アイデア発想編(開催済み)
講師:酒井 敏|静岡県立大学副学長
8月29日(火)デザインシンキング編(開催済み)
講師:小澤 京子│常葉大学造形学部造形学科 非常勤講師
9月26日(火)わかりやすい伝え方編
講師:窪田 てるみ|しあわせ販促工房 漫画クリエイター
この研修会はCon-Taktメンバーだけでなく、Taktの会員の方や会員でもない方も参加できるものとなっていました。
本記事の流れ
イベント概要
開催日:8/22(火)18:00〜20:00
場所:コラボレーションスペース Takt
参加人数:約20人
講師:酒井 敏|静岡県立大学 副学長
※詳しいイベント概要や酒井さんのプロフィールはこちら
イベント内容
やりたいことに理由はいらない
まず、酒井さんは谷川俊太郎さんの「あな」という絵本を取り出して読み聞かせを始めました。
この絵本の内容としては、ひろしくんという男の子がタイトル通りひたすら穴を掘っている内容です。ひろしくんは家の前で穴を掘り続けていて、時折友人や家族が様子を見に来ては「なぜ穴を掘っているのか」、「どこまで穴を掘るのか」などとひろしくんに質問します。しかし、ひろしくんはどの質問にも明確には答えません。最終的に、ひろしくんが掘っていた穴を埋めたところで絵本の内容は終了します。
この絵本を読み終えて、酒井さんがイベント参加者に感想や疑問点を求めると、「何のためにひろしくんは穴を掘ったのか」という疑問が出ました。今この記事を読んでいるあなたも、もしかしたらそう感じたのではないでしょうか。ひたすら一人で穴を掘って、埋めて終わり。何がしたかったんだろうと思うのもおかしくはありません。
ただ、酒井さんは「ひろしくんが穴を掘っている理由は特にない。ただ掘りたいから掘っているだけで、やりたいことをやるのに理由はいらない」とおっしゃいました。客観的に見たらひろしくんはただ長い時間をかけて穴を掘って、満足したら穴を埋めてしまうというよく分からない行動に見えます。
ただ、ひろしくんからすると穴を掘る前と掘った後では世界が変わっているというのです。周りにはうまく説明できないかもしれませんが、穴を堀っていく中で見つけた新しい発見、気づきがなにかしら存在し、自分の中にはなにかが残っている──。酒井さんは、これこそが”遊び”だと言うのです。
アイデアは意味のないものが集まってできる
さて、本題の「アイデア発想」ですが、新しいアイデアを考えて世の中を変える…すなわちイノベーションとは、頑張ってできるというものではなく、なにかが起きて一気に世の中が変わるのだといいます。
たとえば、水が氷に変わる時。じわじわ同じ速度で氷になっていくのではなく、ある瞬間にぱっと氷に変わりますよね。このように、固まるギリギリのところまで持っていけば、何をやってもイノベーションは起こるというのです。なにか一つ、誰か一人が急に新しいことをひらめいてその人の影響だけでイノベーションが起きているということは少ないのです。酒井さんは、「意味のないものが集まって相変化を起こすと新しい意味ができる」と言っていました。
スマートフォンのカメラ機能を例に出します。今ではスマートフォンにカメラが付いているのは当たり前ですよね。しかし発売当時は「なぜ電話にカメラをつける必要があるのか?」という状態だったそうです。
しかし、現在ではそのカメラを使ってQRコードを読み取って支払いをする…というような電子決済まで登場しており、世界の通貨システムを変えた、ということもできます。それでは、当時スマートフォンにカメラを搭載しようと決めた技術者はここまで見越して開発をしたのでしょうか。
実際、当時の技術者は世界の通貨システムを変えると思ってカメラをつけたわけではありません。本当は、「残業しているお父さんに子供の寝顔を送ったら嬉しいよね」という提案でカメラをつけることを決めたそうなんです。しかし、実際にそのカメラ機能で喜んだのは家族ではなく女子高生でした。
さらにQRコードは元々トヨタの在庫管理システムだったそうですよ。
この全く違う二つのものが繋がって、原型を留めない意味が生まれているというのが現状としてあります。酒井さんは「無から有は生まれない。意味がないものがたくさん集まると、意味が出てくる」と話します。
アイデアは何かが外れた時に生まれる
続いて、スティーブ・ジョブズの「未来をあらかじめ点と点をつなぐことなんてできないんだ。できることは、点と点をあとで繋ぐことなんだ」という有名な言葉を紹介されました。
彼は大学中退後に大学に潜ってカリグラフィーの授業を見て感動したのがmacの原点だと言います。彼は当時からフォントに凝っていたのです。当時パソコンといえばWindowsだった時代に支持された大きな原因であるそうです。彼はもちろん、大学を辞めた後に急に将来に繋がる講義があることを察知して講義を受けに行ったわけではないでしょう。
そこで「アイデアは何かが外れた時に生まれる」という言葉が出ました。よく、良いアイデアが思いつくのはデスクを前に考え込んでいる時ではなくお風呂やトイレなど落ち着ける空間にいる時だ、なんて言いますよね?
これは実際その通りで、酒井さんが良いアイデアをひらめくのも大抵入浴中だといいます。ただ、誤解してはいけないのが、これは頑張らなくていいという意味ではないのです。
普段何もせずに過ごしていたら、この「何かが外れた時」もぼーっとして終わってしまいます。そうではなく、日頃から「何かが外れた時」が来た時に良いアイデアを考えられるようにあらかじめ色々な考えや見方をしておくと良いそうです。つまり、頑張る時と頑張らない時を組み合わせると良いアイデアが出てくるということです。
スティーブ・ジョブズのように偶然の行動が人生を変えるきっかけになることもあります。ただ、これは行動して、新たな気づきを得たからこのような結果につながったということなので、やはり頑張っている時間も作っておかないといけないのです。
おわりに
酒井さんのイベントの内容に触れていきましたが、いかがでしょうか?
私はアイデアを考えるのが苦手なタイプなのですが、今思い返すと「良いアイデアを生み出さなくてはいけない」と堅く考えすぎていたように思います。「頑張る時」と「頑張らない時(力を抜く時)」、どちらの時間も大切に過ごしていくのが良いんだなと気づくことができました。
こちらの記事を読んだみなさんにも、なにか新しい気づきがあると嬉しいですね。
また、「1から企画を立てるのに必要なスキルを身につけよう」シリーズのイベントVol.4を9月26日(火)18:30〜20:00に開催します。テーマは「漫画制作から考える『わかりやすい伝え方』編」で、講師はしあわせ販促工房 漫画クリエイターの窪田てるみさんです。
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